
奈良盆地の東側、山裾を縫うように続く「山の辺の道」。日本最古の道のひとつといわれる古道です。
一般的には桜井から三輪、柳本を経て天理の石上神宮へと続くルートですが、ただ昔の姿のまま保存されているだけの場所ではありません。
田んぼのあいだを抜け、静かな集落を通り、細い道を曲がる。神社や古い建物に出会うこともあれば、農家の軒先や無人の果物販売所が目に入ることもあります。
人混みで混雑する観光地とは違い、ここにあるのはのびやかで穏やかな時間。歩いていると不思議と気持ちがほぐれ、すれ違う人に自然と「こんにちは」と声をかけたくなるような、平和な空気に満ちています。
舗装された道、やわらかな土の道、山道。緩やかな起伏を繰り返しながら、古代から続く景色と今の暮らしが同じ道の上にやさしく並んでいます。
靴を履き、歩き、立ち止まり、挨拶を交わす。自分のペースで自由に足を運べる、いまも息づく古道です。

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